同じお薬をもらっても払う金額が違うんだって(薬価=薬の値段)

調剤薬局で支払うお薬代の謎 その5

これまで「調剤基本料」「後発医薬品調剤体制加算」「基準調剤加算」とご説明してきました。
今回は「薬学管理料」についてです。
もしかしたらこの薬学管理料については、これまでの中で一番スムーズに理解できるかもしれません。というのもこの薬学管理料は「お薬手帳(電子版お薬手帳含む)」に非常に関係しているものなので、皆さんにとっても馴染みがあるものだからです。
では、早速解説しましょう。

薬剤料?薬価?薬の価格とは

処方せんを薬局に持っていってもらう「お薬」の値段(=薬価)は厚生労働省が決めています。日本中どこの薬局でも同じ値段です。
薬局からもらった領収書にある「薬剤料」がもらったお薬の総点数となります。

薬局領収書

薬局領収書


この領収書では「薬剤料が1,347点」となっています。1点が10円となりますので薬剤料だけでなんと「13,470円」になりますね。
保険合計点が15,230円(1,523点)ですので、圧倒的に一番高いのが「薬剤料」となります。

具体的に例で説明しましょう。

「花粉太郎さん」はその名の通り、病名が名字なんですね。
もらったのは花粉症のお薬になります。

  •   a タリオン錠10mg  1日 2錠  60日分
  •   b アラミスト点鼻液27.5μg56噴霧用 3mg6g  4キット

 aのお薬は朝夕1日2回のアレルギー性疾患治療剤の錠剤です。
 このお薬は1錠=46.40円です。
 bのお薬はくしゃみや鼻水、鼻づまりなどの症状を改善する点鼻薬です。
 このお薬は1キット=2,017.10円です。

疑問その1 なんでお薬の値段に小数点があるの?

そうなんです。「薬価」には小数点以下の値段がついています。前回までお話しした「調剤技術料」はすべて単位は点数で円単位ではありませんでしたね。お薬の値段だけが「円」単位で小数点まであります。
これにはなにか理由といろいろな意味があると思いますが‥‥‥昔々からのことですのでわかりませんでした。
しかし、お薬の値段(薬価)は今はネットで簡単に調べることができます。
Googleなどの検索サイトでお薬の名前を入れて「タリオン錠10mg 薬価」で検索すると、いろんなサイトで薬価がわかるようになっています。ご興味がある方はもらっている薬を調べてみるといいでしょう。以外に高くてびっくりするかも!

疑問その2 薬はとっても高い!

花粉症のお薬60日分といっても、高くないですか?お薬だけで13,470円って。通常の3割負担でも4,000円超えますよね!
ほんとにあらためて見ると、薬ってびっくりするくらい高いんです。ただし、高い理由とそれを安くする方法もちゃんとあります。

実はこの2つは「先発医薬品」と言われるお薬です。テレビなどでお薬が安くなると言っている「ジェネリック」ではないんですね。薬剤師さんに聞いてみたらこの2つのお薬には「後発医薬品(=ジェネリック医薬品)」は発売されてないそうです。
なんで?ないの??と聞きましたら「後発医薬品は、先発医薬品と同じ成分・同じ効き目の薬なんですが再審査期間や特許期間(20から25年間)終了後に発売されるものです。そのため花粉太郎さんのこの2つのお薬は後発医薬品が発売されていません。」ということでした。タリオン錠とアラミスト点鼻液は現時点では「後発医薬品」が販売されていないため、先発医薬品しか選択肢がありません。
うーん、すべてのお薬に「後発医薬品(ジェネリック医薬品)」があるわけではないんですね

薬剤師さんは丁寧に説明してくれました。ほかにもこの薬の特徴も教えてもらいました。ありがとうございました。
薬剤師さんから「ここにも書いてありますよ」って薬局でもらうお薬の写真が載っている「薬剤情報提供書(薬情)」も細かく説明してもらいました。そこにはちゃんと「この薬には後発医薬品はありません。」と書いてありましたね。

実はこのケース、私自身のことでした。私はこの薬を使ってから副作用も少なく症状も断然よくなったので「先発医薬品」ですがこのお薬の服用をつづけようと思います。

ジェネリックって本当に安いの?

政府は膨張し続ける医療費を減らすため「後発医薬品(ジェネリック医薬品)」の活用を推進しています。このジェネリック医薬品、ほんとに安いのか、実際の値段はどうなの?と思いましたので調べてみました。
2016年4月の薬価基準改定に伴って「後発医薬品(ジェネリック医薬品)」の薬価算定方法は以下のようになりました。

後発医薬品(ジェネリック医薬品)が初めて薬価収載される場合
先発医薬品の薬価の50%、ただし、内用薬については収載予定品目数が10銘柄を超える場合は先発医薬品の薬価の40%

初めて発売(薬価収載)される場合は先発医薬品の50%で、内服薬であれば同じ後発医薬品(ジェネリック医薬品)が10銘柄以上になる場合は40%という意味です。半額以下ですよ、ほんとに安いですね。
(「先発医薬品」も初めて薬価収載されたときから改定ごとに下げられたりしているようです。※例外もあるようですが)

経済産業省のデータですが調剤医療費のうち薬剤料の動向がこれです。

        調剤医療費   薬剤料
  平成21年度  5.8兆円   4.3兆円
  平成22年度  6.0兆円   4.4兆円
  平成23年度  6.5兆円   4.9兆円
  平成24年度  6.6兆円   4.9兆円
  平成25年度  7.0兆円   5.2兆円
  平成26年度  7.2兆円   5.4兆円

平成22年から26年の5年間でなんと1.0兆円も薬剤料が増えています。
コメントとして、

調剤医療費に対する後発品医薬品の医療費適正効果額は年々増加する傾向にあり、平成26年度でおよそ6,400億円となっている。
※調剤医療費の伸び率に換算すると、▲2.4%の効果

と書いてありました。

平成25年度と26年度の後発医薬品医療費適正効果額は
  平成25年度 4,724億円
  平成26年度 6,420億円
と約1,700億円の増となっています。平成20年度以降は毎年400~500億円の増ですので大きな効果額になっています。
国が後発医薬品を促進する意味は、こうやって数字をみてみると大きいんだと実感できますね。

値段も意識しながら体に合うものを選ぶ

さてここまでお薬の値段について書いてきましたが、大切なのは「お薬が自分の症状に合ったものか?」「副作用はないか?」など身体との相性です。
そのためにはもらったお薬をきちんと知ること、そして薬剤師さんに遠慮せず色々質問したり相談したりしてください。
後発医薬品については「ジェネリックにしたい」という一言を伝えて、薬剤師さんに相談してみてくださいね

私の実感なんですがスマートフォンでお薬手帳アプリ(電子版お薬手帳)を使ったことで、飲んでいる薬のことや支払ったお金のことがいつも手の中にあるという安心感と病院や薬局で質問や相談しやすくなったのが一番のメリットと感じています。
今使っているお薬手帳アプリではもらった薬に「後発医薬品(ジェネリック医薬品)」がある場合にマークが表示され、タップすると「後発医薬品(ジェネリック医薬品)」の薬価を含めた一覧が表示される機能がありました。
自分の服用している薬を確かめてみたらジェネリック医薬品に変更すればすごく安くなることがわかります。ジェネリックにしてください、と薬局で言っておけばよかったなあと思っています。
ただし医師の診察によっては、ジェネリック医薬品への変更を禁止している場合がありますので、その場合は先発医薬品をきちんと服用しましょう。

  • 本記事は執筆時点(2017年3月)での内容となります。
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