同じお薬をもらっても払う金額が違うんだって(ジェネリックなど)

調剤薬局で支払うお薬代の謎 その3

これまで2回に分けて調剤基本料についてご説明しました。
ただし、薬局で払うお金を左右するのは調剤基本料だけではありません。今回の記事では「後発医薬品調剤体制加算」と「基準調剤加算」についてご紹介します。
またしても情報盛りだくさんですが、是非お読みください。

「後発医薬品調剤体制加算」と「基準調剤加算」

今回は「「後発医薬品調剤体制加算」と「基準調剤加算」についての説明です。この項目も保険調剤明細書(薬局で受け取る領収書)の「調剤技術料」の中に含まれるものになります。

「後発医薬品調剤体制加算」とは

最近では知名度もだいぶ浸透してきましたが、「ジェネリック医薬品」が「後発医薬品」です。ジェネリック医薬品についてはそれだけでいくつか記事になりますので、他のサイトにその説明は託します。
参考までに幾つかURLを掲載しておきますね。
ジェネリック医薬品とは? | ジェネリック医薬品の東和薬品
ジェネリック医薬品とは何か分かりやすく解説! どんな特徴があるの? | 週刊 薬剤師日記

あらためて「後発医薬品調剤体制加算」の説明ですが、この加算は以下の3つにわかれています。

  1. 後発医薬品調剤体制加算1 18点(180円)
  2. 後発医薬品調剤体制加算2 22点(220円)
  3. 加算なし 0点(0円)

「後発医薬品調剤体制加算」は薬局が後発医薬品(ジェネリック医薬品)をお店にしっかり揃えて、患者さんの要望(ジェネリックにして安くしたい!)に応えられこと、および後発医薬品の使用促進を行うことに対して加算されるものです。このような後発医薬品使用促進を行い、実際に後発医薬品に変更した割合によって加算の点数(金額)が変わります。

  • 後発医薬品への変更割合が65%以上:後発医薬品調剤体制加算1 18点(180円)
  • 後発医薬品への変更割合が75%以上:後発医薬品調剤体制加算2 22点(220円)
  • 後発医薬品への変更割合が65%未満:加算なし

ちなみに上記の変更割合の数字ですが、2016年(平成28年)の改定で変更割合が加算1・2ともに10%増えました。これは政府のジェネリック利用促進の流れに乗った形で「薬局はジェネリックへの変更をもっと促進しなさい」というメッセージと思われます。なお、この変更割合をどう算出するかは本記事の本質ではないので割愛します。

多くの後発医薬品(ジェネリック医薬品)は先発医薬品に比べて半額もしくはそれ以下の薬価(国が決めている薬の値段で全国一律)です。複数の薬をジェネリックに変える、14日分や30日分など処方期間の長い薬をジェネリックに変える、といったときにはすごく安くなることがあります。
しかし、こういった患者希望、もしくは薬局によるジェネリック切替促進を行うためには、後発医薬品を薬局が在庫で持つことが必要です。後発医薬品の品揃えも幅広い範囲をカバーしなければなりません。こういった準備には薬局側で後発医薬品に対する体制を作っておくことが必要になります。そのため後発医薬品を患者の要望どおりに交付(お薬を渡す)することができる薬局に対して加算が付くという仕組みです。

「いやいや私がもらっている薬は先発薬しかないのに、この前支払ったときにこの加算をとられていたけどおかしいんじゃないの?!後発医薬品じゃないのに」と思われるかともいると思います。
そうなんです。この加算は”調剤体制”という言葉のとおり加算ができる薬局ではすべての調剤にこの加算がおこなわれます。先発品のみの調剤でもです。
「この後発医薬品調剤体制加算というのは患者さんのジェネリック希望にしっかり応える薬局です」というある意味では「証明書」のようなものであり、実際に自分の処方せんに関わる調剤に関してジェネリックに切り替えたかどうか、には関係ありません。薬局自体への加算なので等しく全員に加算されます。

ここで注意ですが、この加算が無い薬局でも後発医薬品(ジェネリック医薬品)に変更してもらいたいときはどこの薬局でも忘れず薬剤師さんに伝えて相談してくださいね。

「基準調剤加算」とは

では次は「基準調剤加算」のお話しです。この加算は前回までの「調剤技術料」に関連します。

「基準調剤加算」は加算としては1種類のみで「32点(320円)」です。
厚労省の平成28年度診療報酬改定の説明資料には基準調剤加算の見直しとして“かかりつけ薬剤師が役割を発揮できる薬局の体制及び機能を評価するため、基準調剤加算を統合し、「患者のための薬局ビジョン」を踏まえ、在宅訪問の実施、開局時間、相談時のプライバシーへの配慮等の要件を見直す。”というお役所文書特有のよくわからない長い説明が書かれています。
「で、何なの?」という話ですが、実際のところの加算条件を掲載すると、以下のようになっています。

加算条件:
  1. 調剤基本料1(41点 410円)を算定している薬局のみ加算できる。
  2. 1200品目以上の医薬品を備蓄していること
  3. 一定時間以上開局していること(平日8時間以上/日、土日(いずれか)一定時間以上、週の開局時間が45時間以上)
  4. 24時間調剤及び、在宅業務の体制が整備されていること ※近隣の薬局と連携可
  5. 在宅の業務経験が年1回以上あること
  6. 管理薬剤師の実務経験が基準を満たしていること
  7. 健康相談又は健康教室を行っている旨の薬局内掲示
  8. 医薬品医療機器情報配信サービスに登録すること
  9. かかりつけ薬剤師指導料又は、かかりつけ薬剤師包括管理用に係る届出を行っていること
  10. 患者へのプライバシーを配慮したパーテーションや会話が漏れ聞こえない構造・施設であること
  11. 特定の保険医療機関に係る処方せんによる調剤の割合が90%を超える薬局は、後発医薬品の調剤割合が30%以上あること

うーん、なんだかよくわからないかもですが、見るからに厳しい条件ですね。つまり、この厳しい条件をクリアした薬局には基準調剤加算が算定できますよ、ということです。
薬局の取り組みを評価する、という側面での加算と思われます。

まとめると「豊富な医薬品が揃っていて開いている時間・日が多くてプライバシーにも配慮してくれていて健康相談なんかも対応できる薬局」といったところでしょうか。
こんな厳しい条件をクリアした薬局やその薬局に勤務する薬剤師の方は、私達にとっては心強くとても助かることは間違いありません。その企業努力、薬剤師さんの頑張りに対する加算であれば納得できますね。

しかしこの「基準調剤加算」はやはり加算要件が厳しいため、約20~23%(2017年1月時点)くらいの薬局でしか算定されていないのでが現状です。
このような納得感のある加算要件ならば気持ちよく薬局を利用することもできるというものですが、本当に厳しい条件ですよね。

ここまでのまとめ

今回は「後発医薬品調剤体制加算」と「基準調剤加算」についてご説明しました。

後発医薬品調剤体制加算」とは薬局が後発医薬品(ジェネリック医薬品)を取り揃えて患者さんのジェネリック切替要望に応えられる体制を整えていること、および後発医薬品の使用促進を行うことに対して加算されるもので、その患者さんがジェネリックに切り替えたかどうかとは無関係に一律加算されるものです。

  • 後発医薬品への変更割合が65%以上:後発医薬品調剤体制加算1 18点(180円)
  • 後発医薬品への変更割合が75%以上:後発医薬品調剤体制加算2 22点(220円)
  • 後発医薬品への変更割合が65%未満:加算なし

「基準調剤加算」とは厳しい加算基準を努力してクリアした薬局に対する加算資格で「豊富な医薬品が揃っていて開いている時間・日が多くてプライバシーにも配慮してくれていて健康相談もおこなえる薬局」といえます。
「基準調剤加算」は加算としては1種類のみで、「32点(320円)」です。

これまでの内容をある程度理解できると、「処方せんを持っていくと薬局が違うとなぜ払う金額が変わるのか」というその背景、金額計算の仕組みについて理解が進んだと思います。「薬局はどこも同じではない」んです!
さて次回は、「薬学管理料」についてお話ししましょう!

調剤薬局で支払うお薬代の謎 その4を読む

  • 本記事は執筆時点(2017年3月)での内容となります。
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